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精神科、心療内科、カウンセリング、精神療法、治療精神医学、夢分析、箱庭療法

院長コラム

うつ病の治療はマイペースの確立と、うつ感情の受け入れ

 うつ病も、根本の原因は思い込みである。鬱病になりやすい人は順調希求(常に調子よく心身が働き活動も出来ている)が強く、ちょっとした不順調(思い通りに行かないこと)に弱い。課長に上がった後、部下が当然指示に従ってきちっと仕事をしてくれるだろうと思いきや期待が裏切られる。それでイライラしながら、部下の遣り損ないの仕事を片付けようとして負担を多くかかえこむ。そのうち、イライラだけでなく、怒りや憂鬱感、不眠と強度の疲労感が出現、食欲不振も出て来る。こんな時は休養するなり、仕事の達成目標を下げるなりの対応をすべきなのにそれが出来ない。

 こうした心身疲労は、当然うつ状態を悪化させ、いわゆる誰が見ても鬱病といった事態になる。当然精神科医の元に行くべきなのに抵抗する人もいる。そこら辺を家族、上司が理解してあげると受診は早い。

 治療の根本はまず休息をとり疲労を回復することだが、本人の心身は騒いでいるので休息が難しい。そんな時には、診断書で休養を取り、抗不安剤や抗うつ剤で、心身を楽にし、冷静さを取り戻してもらう。

 殆どの人はそれでよくなるが、問題は再発の多さである。これに関しては、ゆっくり医師と自分のライフスタイルを振り返りながら、マイペースでいくこと、即ち「自分のしたいこと」「できるここと」「有益なこと」だけをするように共に考えて行く。

 最後に大事なのは、憂鬱感はなくなるものではなく、誰でも多少ともあるもので、多少の抑うつ感情が来ても慌てず、それを持ちながら適切な対応をしていくということである。

発達障害について

あらゆる人はどこかに未発達な所があり、全ての人は発達障害と言えるでしょう。ただ、発達障害と診断されてしまう人は、この未発達の点が、健常人と言われている人より少し程度が強いので、運悪く、学校や職場で適応できなくなるのです。

 発達障害の方は、特に人とのコミュニケーションが苦手ですが、これらは原因を探るなり、色んな工夫を考える事で、改善はある程度可能です。それを助けるのが、精神科医や心理士といった援助者たちなので、そういう人を大いに利用するといいでしょう。

 また発達障害で仕事が出来ない、いつも上司から叱られているという方も同じで、仕事はコミュニケーションや話合いと同じく、非常に複雑なものです。だから援助者と丹念に、上手く行かない原因・背景・理由を探っていって、出来る事を見つけそれらを積み重ねることで、今の困難から相当救われると思います。

薬の使い方、効かなくてもあきらめないこと、試行錯誤の繰り返しで最適処方へ

 精神に効く薬は、次のような目的で使用されます。それは「心身を楽にする、不安・緊張・憂鬱・イライラ・怒り・不満などを緩和する、冷静さ・ゆとりを助ける、睡眠の改善、気力の増大、気分の改善」といったことです。つまり、少しバランスが崩れていた、神経情報伝達物質の流れを正常化し、皆様の役に立てるということです。

 しかし、薬は100%効くというものでなく、患者の状態に合わせて、適剤・適量を選択する必要があります。この際、医師はなるべく「服用に当たっての必要な事」を伝え、両者合意の上で薬物療法が開始されることが望ましいです。

 その結果、効果が出れば喜んだらいいのですが、残念なことに効果が出なかったり、副作用の方が強かったりすると、その反省を元にまた新たな処方戦略を立て直して、新たな処方を試すことになります。

 こうやって試行錯誤を繰り返し乍ら、正しい処方に到達するのです。

薬の、安全な減らし方、止め方

 状態が落ち着いてくると患者はいつまで薬を飲むのか疑問に思ったり、不安に思ったりする時があります。

 そんな時は直ちに医師にいえば、医師は安全な減薬計画を立ててくれます。

 勿論、薬が無くなった場合の最良の結果、最悪の結果、その中間の段階などいろいろでしょうが、そういうことを話合った後、大抵は漸減作戦、つまりゆっくり薬を減らすのが安全です。

 例えば、一週間に一回、翌日が休日である金曜の夜に休薬日を設け、上手く行くと、次は水曜日も抜くといった具合です。これはノイローゼの型だけではなく、うつ病などの気分障害や統合失調症の方にも通じる戦略です。

 薬は「必要な時に、必要な薬を、必要な量だけ服用する」のが原則で、必要が無くなれば減らしていくのが自然です。

各種の依存症に対して

 精神科に来られる方の中で、依存症の方が増えています。ゲーム依存、スマホ依存、買い物依存、ギャンブル依存、過食発作(過食への依存)、薬物依存、アルコール依存、セックス依存など様々なものがあります。

 これらはなかなか止められず、これで破産したり、体や心をボロボロにしてしまったり、家族に大変な迷惑をかけたり、という痛ましいことが生じます。

 こうした依存症は治らないと思われているようですが、そうではありません。本人、家族、治療者(精神科医や心理士など)が、依存の背景・構造・理由を探っていき、適切な対策、例えば行動記録の活用などを工夫して、すぐには良くならなくてもこれ以上は悪くならないように食い止めることは不可能ではありません。

 そして、少しずつ改善の方向に行く例もあるのであきらめないことが肝心です・

片づけられない人と注意欠陥多動性障害(ADHD)

物を片付けるというのは実に大変なことです。片づけるとは整理する事で何かを捨てる決断と、それを行うだけの持続力・集中力が必要です。これは俗に患者さんと言われる臨床的事態になっている方に特に多いようです。

 

 片づけられない人とADHDが全く同一ということはありませんが、似ている所は沢山あります。

 さて、一番肝心なのは、どうやったらかたづけられるか?ということです。これが出来るとADHDの治療にも役立ちます。

 まず、大事なことは、計画を立てる事です。捨てるもの、異動するもの、整理するものと予め書いておくといいです。

 次に重要なのは一度に全部出来なくてもかまわないと思う事です。一割でも出来たら自分を誉めてあげましょう。

 三番目は、がむしゃらにやらずに疲れたら休むことです。もちろん休んだ後は再開です。「持続する志」がとても貴重です。

 また、家族や友人・知人に頼んで一緒にやれると一層効果があります。

 それから、精神科でストラテラやインチュニブという薬を処方してもらい、気持ちを冷静に楽にし、集中力や自己統制力を応援してもらうのも一つの手です。但し、効果のある薬は副作用も勿論あるし、飲み方を注意していかないと折角の薬も役には立ちません。

 今のは、ほんの一例ですが、実際には「片づけられない症候群」の背後には様々な事情や原因があるので、その辺りを精神科医とじっくり話して見る事が大事でしょう。

 

治療の原則、波長合わせと共同作業

 治療方法や治療経過は非常に多彩である。ただ、いくら多様と言っても、「不易流行」のようなものは底に流れている。それは、治療者と患者を中心とする共同作業ということであり、治療者がなるべく患者の波長に、自分のそれを合わせ乍ら進んで行くということである。又治すのは患者自身であり治療者はそれを邪魔しない時に患者の自己治療を助ける、更に稀に患者の力を引き出す援助者である。いわば、テニスのコーチやピアノの先生のようなものである。そして無理なく最大限引き出せるのが名コーチである。

症状消失より、苦を楽にすること。治る事の苦しさと治療の速度

多くの精神科医は、治療目標を「症状の減少・消失」と考えているかもしれないが、筆者はそうは思っていない。勿論、症状の苦痛が強く、患者の生活能力の妨げになるなら、その苦痛の軽減と能力回復の援助に集中する。

ただ、症状が守りである場合を理解すると同時に、症状はその患者の歴史の総決算でもあるのでそのことも予め心得て置く必要がある。簡単に消失するものではないのである

又、「治る」ことで苦しみが増える事も了解しておくことが大事である。治ることにより現実の負担や課題が増えるし、また気づきによって悪性の自己否定に陥る場合もあるからである。治癒が進んだ時に、うつ病の自殺が増えることを銘記すべきである。

勿論、治らないままでいることも苦痛である。従って治療者は患者とその点を話合いながら、最適の「治る速度」を二人で勘案することが重要である。

真の治療目標(思い通りに行かなくても構わないという覚悟)、症状を受け止める事、患者を傷つけない事こと

・治療目標は「楽になる事」「思い通りに行かない場合に適切に対処できること」「症状・問題点を受け止める力の開発」

そこで、筆者の治療目標であるが、それはひたすら患者が「楽になる」ということを目指すことである。そして「真の楽」とは、「したいこと」「できること」「有益なこと」の発見と実践だと考えている。ただ、患者にとっては、これは難しいことなので、取り急ぎその三つを目標にしたまま、その発見が達成されるまでは「身体だけは大事にする」ということが二次的目標となり、それを目指す。

 「真の楽」達成に関して、今一つの目標は、「人生や物事は思うようにはいかない」と覚悟する事、そして「思うように行かない辛さを抱きながら、その時の最良の対応を発見、実践し、最悪の反応を避ける」ということである。

・症状を受け止めることの大事さ

 この二つと連動するのが、先の症状の問題である。筆者は、症状の完全消失という不可能なものは求めず、可能な範囲での症状苦痛の軽減と、症状を受け止める力(症状にふりまわされず、それを持ちながら適切に行動する)の増大を目指す。

・患者に対する傷は最小限に

 また治療者は患者を誘惑しているだけではなく傷つけていることにも注意を払っておくべきである。注意しておくと傷は最小限で抑えられる。

 以上は基本中の基本であるが、基本程難しいものはないので、常にその点検が大事である。

診療の実際、聞く事の大事さ(何故、この時期に、この自分に、このような症状が出てきたかの解明)

【治療の実際】

a.診療で気を付けている点(詳しい正確な把握、身体への関心、治療歴の重要さ)¹

初診は決定的に重要である。よく「入り口か出口を決定する」「最初のボタンの掛け違いが後迄響く」と言われるのもその所以である。だからといって、あまり気負わずに、「なるべく、患者の言う事を正確に素直に聞きとろう」「患者の物語を少しでも読み取ろう」「何故この時期に、この患者診察で丁寧に、話を聞くのは勿論である。特に、「何故この時期に、何故この自分に、何故このような症状・問題点が出現したのかということの理解に努めよう」とするが肝要である。そのような気持ちでおれば、素直にそれが治療者の態度に現れ、患者は「私は受け入れられている」「少なくとも拒否はされていない」という印象を持てるようである。

話を聴く中で、特に注意しているのは現症病歴治療歴成育歴家族歴現在の対人関係、一日の生活の様子といった点であるが、その中でも、重大なのは身体状態の把握である。時として幻聴やうつ症状の背後に脳腫瘍が見つかり糖尿病高血圧肝炎などが発見されることも多い。精身療法(筆者の造語)を考えておきたい。

又、治療歴も重要である。筆者の元に来院する患者は紹介患者が多く89割はどこかで治療を受けた経験があるこの点に関してそれまでの治療内容や患者の印象を聞いておくとその患者の問題点や治療困難点が浮き彫りになり患者の核心を掴みやすい。また、患者の心配(前治療者の下での傷つき・不快体験が再現されないか等)を聞いておくと、患者の安心感は増え、よりスムーズに治療という共同作業に入りやすい。

その後、主訴(患者の望む事、治療者に聞きたい事、してもらいたいこと等)を聞きだし、治療目標が設定され、そこへ到達するためにした方がいいこと、しない方がいい事の共同探究がなされる。ここでも大事なのは、患者と波長を合わせながら、お互い確認と同意を共有しながら進んで行く事である。しかし、治療目標を明確にすることは必ずしも簡単ではない。その場合は治療目標を見つけることを目標にすればいいであろう。

又、場合によっては治療目標など定めない方がいい時もあることをわかっておきたい。

治療とは治療困難店の発見と解決が基本

治療とは「治療困難点の探究と解決」²

治療は初めから別れまで、困難の診段階から、治療の中期、終結に至るまで、治療は困難の連続である。例えば、治療意欲の乏しさ、現実認識の無さ・歪み、患者本人が通院困難、治療希望が非現実的・非合理、話がまとまりにくい、緘黙とその反対の超多弁、質問に答えない・逸らす、対話困難・相互性の無さ、治療者への非難、脅迫、暴言、暴力、事務スタッフへの無理難題・嫌がらせ、様々な行動化、無関係な話ばかりする、自分の意見が言えない、質問だけで終始、自傷、希死念慮、自殺企図、絶望感・虚無感、現実や人間関係に入れない、ルール・約束が守れない、犯罪傾向、薬物依存、嘘が多い、責任感の無さ、治療者へのしがみつき(悪性の依存・転移)、認知の歪み、重度の健忘・解離、行動のコントロールの無さ、解説ばかりで実践が無い、などである。

上記の治療困難点には絶えず注意を払い、少しでもその予兆に気づいたら、すぐにその対策を考えたり実践する方がいい。というのは、こうした治療を妨害したり難しくしたりするこの「治療困難点」こそ、患者の問題点や病理の核心であり、治療の展開点になることが多いからであるとが多いからである。

それ故、治療とは、治療困難点の発見とその対策探求と言っていい。

不安障害、パニック障害、社会不安障害に対して

 不安は嫌なもので、誰もがその消失を願うが、不安は人間の条件でもあるので消すことは難しい。

 しかし、不安を軽くし、楽にすることは可能である。そのための第一は、不安は人間である以上、あっても構わないと覚悟することである。不安を減らそうとすると、不安に注目することになり、却って不安はひどくなると。

 第二は不安の原因を探し出し、それが少しは解決可能なもの(余計な負担はしょい込まない、他者との人間関係の回復、懸案を片付ける、規則正しい生活等)であれば、それを考える。

 第三に減らせる不安と減らせない不安を区別する知恵をつけることである。

 第四は減らせない不安の場合はそれを持ちながら、自分の「したいこと」「できること」「有益な事」に集中することである。

 第五は、冷静になり、心身を楽にするために必要であれば、適剤適量をよくわきまえている精神科医に処方してもらうことである。

 ちょっとした不安もパニックも対人不安も根は同じであり、不安との付き合い方が大事なのである。

心の病の原因は「思い違い」にある

 心の病の原因は無数に有るが、その中で最大のものは「思い込み」「思い違い」である。いつも目にする不安障害、パニック障害でも、ちょっとした不安(死ぬのでは、息が止まるのでは、癌になったのでは、等々)を、そうであるかのごとくに思い込み、不安が不安を呼び、脳と心と体は冷静さを失ってしまう。そして日中は思ったことが出来ず、夜は不眠に苦しむのである。

 ただ、悲しい事にまわりがいくら説明しても、例えば「こんな不安ぐらい誰でもありますよ。不安がある方が注意して行動できますよ」「息は止まりません。体は自然と呼吸を欲するものです」「これだけ検査をして正常ですから癌の筈はありません」「無理に眠ろうとせず、目を閉じて横になっているだけでかなりの程度の休息や睡眠になりますよ」と言ったとしても無駄である。

 彼らは不安に駆られて、無暗に無駄に動き回り、また「息が止まる不安」に駆られて、息を吸おう吸おうとして却って過呼吸発作を引き起こすのである。夜は寝床に入る前から「眠れるかどうか」不安になり、もう寝床に着く頃には最高の興奮状態になっており、じっとしておられなくなる。そして日中は仕事や用事や人と会う事が出来なくなる。

 概して。心の病は、必要で有益なことが出来なくなり、不必要で嫌なことを増やしてしまうのである。

『治療者ユングから学んだこと』発刊(朱鷺書房)(2020.2.1)

 上記のようにようやくユンク心理学の本が書けました。ユングについては50年近く前から親しんできたのですが、なかなか難解でよくわかりませんでした。ただ、文学的、象徴的、絵画的、詩的なイメージが豊富で、その魅力に取りつかれて、ここまでやってきました。

 しかし、20年前頃より、「自分なりのユング」、特に治療者としてのユングに迫りたいと思い、対話形式でまとめました。おかげで、夢、象徴、イメージが、如何に人間を動かすかということを実感すると共に元型体験の重要さ凄さを身に染みてかんじさせられました。

 そうしたことを具体的に理解し、また読者の方にも分かりやすくするために、自験例10例を加えた30の事例を紹介すると共に、自分なりの解説も加えました。

 更には、ユングの影とも言える、シュピールライン、トニー・ウォルフ、更にはナチスとの関係についても触れました。

 ユングは大変魅力的ですが、危険な面もあります。こうしたことを踏まえ、なるべくユング心理学が皆のものに、更には治療や「困難を受け止める力の開発」に役立てて頂ければこれに過ぎ喜びはありません。

 また感想を聞かせてください。

夢コラム

3月に刊行予定の「心の援助に活かす『夢』の基礎知識」の校正をしています。夢がわかりにくく、思い出しにくいのは、心的内容や意味の圧縮・移動・象徴化・視覚化・二次加工(ストーリー仕立て)といった、夢作業の結果だと言えます。

 

ただ、こうした作業は、夢に限らす、日常の会話や伝達でも使われています。言いにくいことや伝えるのをためらわれる場合に、ぼかしたような言い方、比喩・皮肉・例え話などのような表現、カモフラージュした言い方、幾様にもとれるメッセージなどです。これらは人間関係を円滑にしたり、深みをもたらすような様々な利点がありますが、一方で「何を言いたいのかさっぱり分からない」ということにもなります。 

 

その意味で、夢は「心の大いなる秘密」と言えるかもしれません。だから、夢も秘密と同様、「よくそれ(夢・秘密)に熱心に耳を傾け、理解してくれる人」「それを誰にも明かさないで秘密を守ってくれる人」「打ち明けた内容を、その人(夢見手、秘密の当事者)に有益になるよう使ってくれる人」に限って、話すことが無難でしょう。

 

皆さんの初夢はいかがでしたか。

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